終活コラム

公正証書遺言の必要書類一覧|準備から作成完了までの全手順

公正証書遺言の作成に必要な書類を一覧で解説。戸籍謄本・印鑑証明書・不動産登記簿など、ケース別の準備物と取得方法、手続きの流れを具体的に紹介します。

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公正証書遺言を作りたいけど、何を準備すればいいの?」「役所に行って取る書類が多そうで面倒…」——公正証書遺言の作成を考え始めたとき、多くの方が最初にぶつかるのが書類準備のハードルです。

公正証書遺言とは、公証役場で公証人が作成する法的効力の高い遺言書のことです。形式不備で無効になるリスクがほぼなく、原本が公証役場に保管されるため紛失の心配もありません。

ただし、作成には複数の書類を事前に揃える必要があります。何をどこで取得するのかがわかっていれば、準備はそれほど難しくありません。

この記事では、公正証書遺言に必要な書類を一覧にまとめ、取得場所や手順、費用まで具体的に解説します。初めての方でもスムーズに準備を進められるよう、ケース別の追加書類もあわせてご紹介します。

公正証書遺言の作成に必要な書類一式とペン

公正証書遺言の作成に必要な基本書類

公正証書遺言を作成する際、すべてのケースで必要となる基本書類があります。まずはこの基本セットを把握しましょう。

書類取得場所費用目安有効期限の目安
印鑑証明書市区町村役場300円程度発行から3ヶ月以内
実印
戸籍謄本本籍地の市区町村役場450円/通発行から3ヶ月以内が望ましい
住民票市区町村役場300円程度
本人確認書類有効期限内のもの

印鑑証明書と実印

公正証書遺言の作成当日に遺言者が署名・押印する印鑑は、実印でなければなりません。そのため、印鑑登録をしていない方は事前に市区町村役場で登録を済ませておく必要があります。

印鑑証明書は発行から3ヶ月以内のものが求められるのが一般的です。書類の準備を始める段階で早めに取得しておくとよいでしょう。

戸籍謄本

遺言者と相続人の関係を公証人が確認するために必要です。具体的には以下の戸籍謄本を準備します。

  • 遺言者の現在の戸籍謄本(全部事項証明書)
  • 相続人が子の場合:遺言者の戸籍で確認できることが多い
  • 相続人が配偶者や親の場合:関係がわかる戸籍

本籍地が遠方の場合は、郵送請求も可能です。返信用封筒と定額小為替を同封して本籍地の役場に送付しましょう。マイナンバーカードがあれば、コンビニで取得できる自治体も増えています。

財産の内容に応じた追加書類

遺言書に記載する財産の種類に応じて、追加の書類が必要になります。公証人が正確な遺言書を作成するために、財産を特定できる資料を求められるためです。

不動産がある場合

書類取得場所費用
不動産登記簿謄本(登記事項証明書)法務局600円/通
固定資産評価証明書市区町村役場(都税事務所)300〜400円/通
固定資産税の納税通知書(課税明細書)毎年届くもので可無料

不動産登記簿謄本は法務局の窓口のほか、登記・供託オンライン申請システムを利用して取得することもできます。オンラインで請求し郵送で受け取る場合は500円とやや安くなります。

固定資産評価証明書は、公証人が手数料を算出する際に使用します。遺言書に複数の不動産を記載する場合は、すべての物件分が必要です。

預貯金がある場合

  • 通帳のコピー(銀行名・支店名・口座番号・名義がわかるページ)
  • 残高証明書(任意。大まかな金額がわかれば可)

預貯金については、通帳の表紙と残高がわかるページのコピーで十分な場合がほとんどです。「○○銀行○○支店の遺言者名義の預金全部」という包括的な書き方をする場合は、口座を特定する資料が手元にあれば問題ありません。

有価証券・その他の金融資産がある場合

  • 証券会社の取引報告書や残高報告書のコピー
  • 保険証券のコピー(生命保険を遺産に含める場合)
書類を確認しながら公証役場で相談する様子

受遺者・相続人に関する書類

遺言書で財産を受け取る方(受遺者)の情報も必要です。

相続人に遺す場合

相続人に財産を渡す場合は、戸籍謄本で続柄が確認できれば追加書類は基本的に不要です。ただし、相続人の正確な氏名・生年月日は把握しておきましょう。

相続人以外に遺贈する場合

法定相続人ではない人(友人、お世話になった方、団体など)に財産を遺す場合は、以下が必要です。

  • 個人の場合:受遺者の住民票(氏名・住所・生年月日の確認)
  • 法人の場合:法人の登記簿謄本

受遺者の戸籍謄本までは通常求められませんが、氏名と住所を正確に記載する必要があるため、住民票で確認するのが確実です。

証人2名に関する準備

公正証書遺言の作成には、証人2名の立ち会いが法律で義務づけられています。証人に関する準備事項を確認しましょう。

証人になれない人

以下に該当する方は証人になることができません(民法974条)。

  • 未成年者
  • 推定相続人および受遺者
  • 推定相続人・受遺者の配偶者と直系血族
  • 公証人の配偶者・四親等内の親族、書記、使用人

つまり、財産をもらう可能性がある方やその近親者は証人になれないということです。

証人を依頼する方法

証人の候補としては、以下が考えられます。

  • 信頼できる友人・知人
  • 弁護士・司法書士・行政書士などの専門家
  • 公証役場からの紹介(1人あたり6,000〜15,000円程度の日当が目安)

証人には遺言の内容が知られることになります。内容を秘密にしたい場合は、守秘義務のある専門家に依頼するのが安心です。

証人に必要な情報

公証役場に事前に伝える証人の情報は以下の通りです。

  • 氏名
  • 住所
  • 生年月日
  • 職業

証人本人が当日持参するものは、運転免許証などの本人確認書類です。

公正証書遺言の作成手順と流れ

必要書類を把握したところで、実際の手続きの流れを確認しましょう。全体像を知っておくと、準備のスケジュールが立てやすくなります。

ステップ1:事前準備(1〜2週間)

まず遺言の内容を大まかに決めます。「誰に」「何を」「どのくらい」渡すかを整理し、必要書類を集め始めましょう。

この段階でやっておきたいことは以下の通りです。

  • 財産の棚卸し(不動産・預貯金・有価証券・保険をリストアップ)
  • 相続人の確認(戸籍謄本で法定相続人を把握)
  • 証人2名への依頼
  • 遺言執行者を誰にするか検討

遺言書の書き方の基本を押さえておくと、公証人との打ち合わせがスムーズに進みます。

ステップ2:公証役場への相談・打ち合わせ(1〜2回)

最寄りの公証役場に連絡し、遺言書の作成を依頼します。初回相談は無料で受け付けている公証役場がほとんどです。

打ち合わせでは、遺言の内容を公証人に伝え、集めた書類を提出します。公証人が内容を確認し、法的に問題のない遺言書の原案を作成してくれます。

内容に修正が必要な場合は、電話やメールでやり取りしながら調整することも可能です。

ステップ3:作成日当日(30分〜1時間)

遺言者と証人2名が公証役場に集まり、以下の流れで遺言書が完成します。

  1. 公証人が遺言書の内容を読み上げる
  2. 遺言者が内容に間違いがないことを確認
  3. 遺言者が署名・押印(実印)
  4. 証人2名が署名・押印
  5. 公証人が署名・押印し、原本を保管

正本と謄本が遺言者に交付されます。原本は公証役場で保管されるため、万が一手元の正本を紛失しても再交付が可能です。

出張作成も可能

病気や高齢で公証役場への来訪が難しい場合は、公証人が自宅や病院に出張して作成することもできます。ただし、出張費用(日当・交通費)が追加でかかり、手数料も1.5倍になります。

公正証書遺言にかかる費用の全体像

書類の取得費用と合わせて、公正証書遺言の作成にかかる費用の全体像を把握しておきましょう。

費用項目金額の目安
公証人手数料(財産額に応じて)17,000〜43,000円
遺言加算(財産総額1億円以下の場合)11,000円
正本・謄本の交付手数料1枚250円 × 枚数
証人への日当(公証役場紹介の場合)6,000〜15,000円/人
戸籍謄本・住民票等の取得費1,000〜3,000円程度
登記簿謄本・評価証明書の取得費1,000〜3,000円程度
合計の目安5〜15万円程度

自筆証書遺言が無料〜数千円で作成できるのに比べると費用はかかりますが、無効になるリスクがほぼゼロである点を考えると、安心料として妥当と感じる方も多いでしょう。

法定相続人と相続割合の基本を理解した上で遺言書の内容を検討すると、公証人との打ち合わせもより実りあるものになります。

よくある疑問と注意点

公正証書遺言の書類準備にあたって、よくある疑問をまとめました。

書類に有効期限はある?

印鑑証明書は発行から3ヶ月以内が一般的な基準です。戸籍謄本も3ヶ月以内が望ましいとされますが、公証役場によって対応が異なる場合があります。書類を早めに集めすぎると期限切れになることがあるため、公証役場への相談と並行して取得するのがおすすめです。

書類が揃わない場合はどうする?

相続人と連絡が取れない、戸籍が複雑で取り寄せに時間がかかるなど、すべての書類がすぐに揃わないこともあります。そうした場合でも、まず公証役場に相談すれば、段階的に進める方法を案内してもらえます。

遺言の内容を後から変更したい場合は?

公正証書遺言は何度でも作り直すことができます。新しい遺言書を作成すれば、以前の遺言書と抵触する部分は自動的に撤回されたものとみなされます。ただし、その都度費用がかかる点は留意しておきましょう。

認知症が心配な場合は?

遺言書の作成には「遺言能力」(自分の意思で判断する能力)が必要です。認知症が進行すると遺言能力が否定され、作成した遺言書が無効になるリスクがあります。少しでも気になる段階で早めに行動することが最も確実な対策です。

遺留分権利者の範囲と割合を事前に確認しておくと、遺留分に配慮した遺言内容を検討でき、相続後のトラブル防止にもつながります。

そなえで遺言書の準備を効率的に

「そなえ」は、スマホで手軽に情報を整理できるデジタルエンディングノートサービスです。

  • 不動産・預貯金・保険など財産を一覧で整理でき、遺言書作成の下準備に活用できる
  • 遺言書の保管場所や公証役場の情報を記録しておける
  • もしもの時に指定した家族へ必要な情報を届ける

公正証書遺言の準備で最も手間がかかるのは、実は書類集めよりも「財産の全体像を把握すること」です。日頃からそなえで情報を整理しておけば、いざ遺言書を作成する際にもスムーズに進められます。

まとめ

公正証書遺言の作成に必要な書類は、本人確認(印鑑証明書・実印)、親族関係の確認(戸籍謄本)、財産の特定(登記簿・評価証明書・通帳)、そして証人2名の情報が中心です。

費用は合計5〜15万円程度かかりますが、形式不備で無効になるリスクがなく、原本が公証役場に保管される安心感は大きなメリットといえます。

まずは財産と相続人の整理から始めて、最寄りの公証役場に相談してみましょう。初回相談は無料のところがほとんどですので、気軽に第一歩を踏み出せます。

公正証書遺言の必要書類一覧|準備から作成完了までの全手順