遺留分とは、法律で定められた相続人に保障される最低限の遺産取得割合のことです。たとえ遺言書で「全財産を特定の人に渡す」と書かれていても、遺留分権利者は一定の金額を請求する権利をもちます。
遺留分の基本
遺留分制度は、残された家族の生活を守るために民法で設けられた仕組みです。被相続人が自由に財産を処分できる権利と、家族の最低限の保障とのバランスをとる役割を果たしています。
2019年の民法改正により、遺留分の請求は「遺留分侵害額請求」として金銭で行うことになりました。それ以前の「遺留分減殺請求」では不動産などの現物返還が認められていましたが、現在は金銭請求に一本化されています。
遺留分の権利がある人
遺留分が認められるのは、以下の法定相続人です。
- 配偶者
- 子(代襲相続人を含む)
- 直系尊属(父母・祖父母)
兄弟姉妹には遺留分がありません。これは重要なポイントです。
遺留分の割合と計算方法
遺留分の基本割合
遺留分の全体の割合は、相続人の構成によって異なります。
| 相続人の構成 | 遺留分全体 |
|---|---|
| 配偶者のみ | 遺産の1/2 |
| 配偶者と子 | 遺産の1/2 |
| 子のみ | 遺産の1/2 |
| 直系尊属のみ | 遺産の1/3 |
各相続人の遺留分
全体の遺留分を法定相続分で按分して、各相続人の遺留分を求めます。
たとえば、配偶者と子2人が相続人の場合を考えてみましょう。
- 遺留分全体:遺産の1/2
- 配偶者の遺留分:1/2 × 1/2 = 1/4
- 子1人あたりの遺留分:1/2 × 1/2 × 1/2 = 1/8
遺産が4,000万円であれば、配偶者は最低1,000万円、子はそれぞれ最低500万円を受け取る権利があることになります。
遺留分侵害額請求の手続き
1. まず話し合い
遺留分を侵害された場合、まずは遺産を多く受け取った相手と話し合いで解決を目指します。
2. 内容証明郵便で請求
話し合いで解決しない場合、内容証明郵便を送付して正式に請求の意思を伝えます。時効の問題もあるため、早めに書面で通知することが大切です。
3. 調停・訴訟
交渉が成立しない場合は、家庭裁判所に調停を申し立てます。調停でもまとまらなければ、訴訟に進むことになります。
遺留分を考慮した生前対策
遺言書を作成する際は、遺留分を侵害しない内容にしておくことで、相続後のトラブルを防ぐことができます。どうしても特定の人に多く残したい場合は、生命保険の活用や生前贈与の計画的な実施など、専門家に相談しながら対策を検討しましょう。