デジタル遺産とは、故人が残したデジタル上の資産のうち、経済的な価値を持つものの総称です。暗号資産(仮想通貨)、電子マネーの残高、ネット銀行・ネット証券の口座などが代表例です。近年、資産のデジタル化が急速に進む中、相続における新たな課題として注目されています。
デジタル遺産の種類
金融系デジタル資産
- ネット銀行の預金:楽天銀行、住信SBIネット銀行、PayPay銀行など
- ネット証券の有価証券:SBI証券、楽天証券などで保有する株式・投資信託
- 暗号資産(仮想通貨):ビットコイン、イーサリアムなどの暗号通貨
- FX口座の残高:外国為替証拠金取引口座の預託金
電子マネー・ポイント
- 電子マネー残高:PayPay、Suica、楽天Edyなどのチャージ残高
- ポイント:楽天ポイント、dポイント、マイレージなど
- プリペイドカード残高:各種プリペイドカードの残高
その他の経済的価値を持つもの
- 有料サブスクリプション:月額課金されているサービス
- ドメイン名:価値のあるドメインは売却可能
- デジタルコンテンツ:NFT、有料ブログの収益権など
- アフィリエイト収入:ブログやサイト運営による継続的な収入
相続における法的な扱い
デジタル遺産は相続財産に含まれる
ネット銀行の預金や暗号資産など、経済的価値のあるデジタル資産は、民法上の相続財産として扱われます。相続税の課税対象にもなるため、正確な把握が必要です。
暗号資産の評価
暗号資産は相続開始日(死亡日)の時価で評価されます。価格変動が大きいため、相続税申告時に想定以上の税負担が生じることがあります。
サービス利用規約の制約
電子マネーやポイントは、各サービスの利用規約によって相続の可否が異なります。相続を認めているサービスもあれば、本人の死亡により残高が失効する規約のサービスもあるため、個別に確認が必要です。
デジタル遺産のリスク
- 存在が把握されない:通帳や郵便物がないため、家族が口座の存在に気づかない
- アクセスできない:パスワードや秘密鍵がわからずログインできない
- 課金が続く:サブスクリプションの支払いが故人のクレジットカードから引き落とされ続ける
- 相続漏れ:遺産分割協議から漏れてしまい、後でトラブルになる
生前にできる準備
1. デジタル資産の一覧を作成する
保有しているネット銀行口座、証券口座、暗号資産、電子マネーなどをリスト化します。サービス名、口座番号(またはウォレットアドレス)、おおよその残高を記録しておきます。
2. アクセス情報を安全に管理する
パスワードや秘密鍵を、信頼できる家族が確認できる方法で保管します。パスワード管理アプリのマスターパスワードをエンディングノートに記載する方法が有効です。
3. 家族にデジタル資産の存在を伝える
どのようなデジタル資産を保有しているかを、信頼できる家族に伝えておくことが最も重要な対策です。詳細なパスワードまでは伝えなくても、「どこに何があるか」だけでも共有しておくと、相続時の対応がスムーズになります。