終活コラム

ペットの終活|飼い主にもしものことがあった時の備え方

もし飼い主が先に亡くなったらペットはどうなる?ペットのための終活として、託す先の決め方、ペット信託、エンディングノートへの記録方法を解説します。

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「もし自分に何かあったら、この子はどうなるんだろう」——ペットと暮らす方なら、一度は頭をよぎったことがあるのではないでしょうか。

ペットの終活とは、飼い主にもしものことがあった時にペットが安心して暮らし続けられるよう、事前に備えておくことです。ペットは法律上「物」として扱われるため、相続や遺言のルールだけでは十分に守れないケースがあります。

この記事では、ペットのために飼い主ができる終活の具体的な方法——託す先の決め方、ペット信託の仕組み、エンディングノートへの記録ポイントまでを、わかりやすく解説します。

シニアの飼い主が愛犬と一緒にくつろぐ様子

飼い主にもしものことがあったら、ペットはどうなる?

事前に備えがないと起こること

飼い主が突然亡くなったり、認知症や入院で世話ができなくなったりした場合、ペットの行き先は不確定になります。

家族や親族が引き取ってくれれば幸いですが、必ずしもそうなるとは限りません。「動物アレルギーがある」「ペット不可のマンションに住んでいる」「すでに高齢で世話ができない」といった理由で、引き取り手がいないケースは珍しくないと言われています。

行き先が決まらない場合、ペットは以下のような状況に置かれる可能性があります。

  • 自治体の動物愛護センターに保護される
  • 保護団体やNPOに引き渡される
  • 新しい飼い主が見つかるまで保護施設で生活する

飼い主として、こうした状況をできる限り避けるためにも、元気なうちに「もしもの時」の備えをしておくことが大切です。

ペットの高齢化も考慮する

近年、ペットの寿命は延びており、犬の平均寿命は14歳前後、猫は16歳前後とも言われています。飼い主とペットの双方が高齢になるケースも増えてきました。

飼い主が70代・80代になると、日常的な散歩や通院が体力的に厳しくなることもあります。終活はいつから始める?年代別ガイドでも触れているように、60代のうちから将来の生活設計を考え始めることが理想です。ペットとの暮らしも、その設計に含めておきましょう。

ペットを託す先を決める

ペットの終活で最も重要なのは、「もしもの時に誰がペットの世話をするか」を決めておくことです。

候補先を検討する

ペットの引き取り先として考えられるのは、主に以下の選択肢です。

託す先メリット注意点
家族・親族ペットのことを知っている場合が多い飼育できる環境にあるか確認が必要
友人・知人ペットとの相性を事前に確認できる長期的な負担を受け入れてもらえるか
動物保護団体・NPO新しい飼い主を探してくれる団体によって受け入れ条件が異なる
老犬・老猫ホーム高齢ペットの終生飼育に対応費用がかかる(月額数万円〜)
ペット後見サービス飼育費用と引き取りをセットで管理信頼できる事業者の選定が重要

託す先を決めたら「お願い」まで済ませる

「この人に頼もう」と心の中で決めているだけでは不十分です。実際に本人と話をし、承諾を得ておくことが重要になります。

承諾をお願いする際に伝えておきたいこと:

  • ペットの名前、年齢、品種、性別
  • かかりつけ動物病院の情報
  • 持病やアレルギー、服用中の薬
  • 食事の種類・量・タイミング
  • 性格や苦手なもの(雷、他の動物など)

こうした情報を口頭だけでなく書面にまとめておくと、引き継ぎがスムーズです。

ペットの情報をノートに記録する様子

ペットを守る法的な仕組み

「お願い」だけでは不安——そんな方のために、法的にペットの将来を守る仕組みがいくつかあります。

負担付遺贈(ふたんつきいぞう)

遺言書で「ペットの世話をすることを条件に、○○さんに財産を遺贈する」と記載する方法です。遺言書の書き方で解説している自筆証書遺言や公正証書遺言のいずれでも記載できます。

メリット

  • 遺言書の中に組み込めるので手軽
  • 飼育費用を財産として渡せる

注意点

  • 受贈者がペットの世話を怠っても、強制力は限定的
  • 受贈者が遺贈を放棄する可能性がある
  • ペットの飼育状況を監視する仕組みがない

負担付遺贈だけでは安心しきれないケースもあるため、他の方法と組み合わせることが推奨されています。

ペット信託

ペット信託とは、飼い主(委託者)が信頼できる人や団体(受託者)にペットの飼育費用を預け、定められた方法でペットの世話をしてもらう仕組みです。

一般的な仕組みは次のとおりです。

  1. 飼い主が信託契約を結び、飼育費用を信託財産として預ける
  2. 飼い主に万一のことがあったら、受託者がペットを引き取る
  3. 新しい飼育者に対して、信託財産から毎月の飼育費用が支払われる
  4. 信託監督人がペットの飼育状況を定期的にチェックする

ペット信託のメリット

  • 飼育費用が確実にペットのために使われる
  • 信託監督人による飼育状況の確認ができる
  • 飼い主の認知症や入院時にも発動できる

費用の目安

  • 信託の設定費用(司法書士・行政書士への報酬):10〜30万円程度
  • 信託に預ける飼育費用:ペットの種類・年齢に応じて数十万円〜数百万円

ペット信託を取り扱う事業者は増えつつありますが、実績や信頼性を十分に確認してから契約することが大切です。

死後事務委任契約を活用する

おひとりさまの終活完全ガイドでも紹介されている「死後事務委任契約」は、ペットの引き渡しにも活用できます。

死後事務委任契約の中に「ペットを○○に引き渡す」という条項を含めておくことで、亡くなった後の手続きがスムーズになります。特に一人暮らしの方には有効な方法です。

エンディングノートにペットの情報を記録する

ペットの終活で忘れてはならないのが、エンディングノートへの記録です。エンディングノートの書き方で解説している項目に加えて、以下のペット専用情報を書き添えておきましょう。

記録しておきたいペット情報一覧

項目記録する内容
基本情報名前、品種、年齢(誕生日)、性別、マイクロチップ番号
健康情報持病、アレルギー、服用中の薬、ワクチン接種歴
かかりつけ動物病院病院名、住所、電話番号、担当獣医の名前
食事フードの銘柄・種類、1日の量と回数、おやつの有無
日常のケア散歩の頻度・時間、トリミング頻度、お気に入りの場所
性格・注意点苦手なもの(音・他の動物など)、怖がる状況、落ち着く方法
保険ペット保険の会社名、契約内容、証券番号
託す先もしもの時の引き取り先の名前・連絡先
費用の備えペット信託の有無、飼育費用の準備状況

ペットは自分の状況を言葉で伝えることができません。飼い主が細かく記録しておくことが、ペットの安全と安心を守る最大の手段です。

入院や介護が必要になった時の備え

亡くなった時だけでなく、飼い主が入院したり、認知症になったりした時のことも考えておく必要があります。

短期的な預け先を確保する

突然の入院でペットの世話ができなくなる場合に備えて、短期間預けられる場所を日頃から確認しておきましょう。

  • ペットホテル(かかりつけの動物病院に併設されていることも)
  • ペットシッターサービス
  • 信頼できる友人・近隣の方

自宅の合鍵を預けておくことも重要です。緊急時に外からペットの元にたどり着ける人がいないと、ペットが自宅に取り残されてしまうリスクがあります。

認知症に備えた仕組みづくり

認知症になった場合の備えで解説しているように、認知症は徐々に判断力が低下していくため、ペットの適切な世話ができなくなる可能性があります。

任意後見制度を活用し、後見人にペットのケアについても取り決めておくことで、認知症になった後もペットの生活を守れます。ペット信託との併用がより確実な方法です。

そなえでペットの終活を整理する

「そなえ」のエンディングノート機能を使えば、ペットの情報もデジタルで安全に記録・管理できます。

  • ペットの基本情報・健康情報をいつでも更新できる
  • 託す先の連絡先や飼育費用の情報をまとめられる
  • もしもの時に指定した家族やペットの引き取り手に情報が届く

紙のメモだと紛失や劣化のリスクがありますが、デジタルなら常に最新の情報を保てます。ペットのためにも、飼い主自身のためにも、情報を一か所に整理しておくと安心です。

まとめ

ペットの終活は、大切な家族の一員を最後まで守るための備えです。

  • 託す先を決めて本人に承諾を得ることが最優先。口約束で終わらせない
  • 費用の不安があればペット信託や負担付遺贈を検討する
  • ペットの情報はエンディングノートに具体的に記録しておく

「この子のために何ができるか」を考えることは、ペットへの愛情の証です。元気なうちに一歩を踏み出してみてください。

ペットの終活|飼い主にもしものことがあった時の備え方