成年後見(せいねんこうけん)とは、認知症や知的障害、精神障害などにより判断能力が不十分になった方を法的に保護・支援する制度です。家庭裁判所が後見人を選任し、本人に代わって財産管理や契約手続きなどを行います。
成年後見制度の3つの類型
法定後見制度は、本人の判断能力の程度に応じて3つの類型に分かれています。
後見
判断能力がほとんどない方が対象です。成年後見人が本人に代わって財産管理や契約などの法律行為を行います。本人が行った法律行為を取り消す権限も持ちます。
保佐
判断能力が著しく不十分な方が対象です。保佐人は、不動産の売買や借金など重要な法律行為について同意を与えたり、取り消したりする権限を持ちます。
補助
判断能力が不十分な方が対象です。補助人は、家庭裁判所が定めた特定の法律行為についてのみ同意権や取消権を持ちます。最も本人の自主性が尊重される類型です。
成年後見人の主な役割
財産管理
- 預貯金の管理と出入金の記録
- 不動産の管理
- 年金や保険の手続き
- 税金の申告・納付
- 遺産分割協議への参加(本人が相続人の場合)
身上監護
- 介護サービスの契約・解約
- 医療機関での入院手続き
- 介護施設への入所契約
- 住居の確保に関する手続き
後見人は家庭裁判所に対して定期的に活動報告を行う義務があります。
申立ての手続き
1. 申立てができる人
本人、配偶者、四親等内の親族、検察官、市区町村長などが申立てできます。
2. 申立て先
本人の住所地を管轄する家庭裁判所に申し立てます。
3. 必要な書類
- 申立書
- 本人の戸籍謄本・住民票
- 診断書(かかりつけ医が作成)
- 本人の財産目録
- 後見人候補者の住民票
4. 費用の目安
- 申立て費用:収入印紙800円 + 切手代 + 登記費用(約3,400円)
- 鑑定費用:5万〜10万円程度(鑑定が必要な場合)
- 後見人への報酬:月額2万〜6万円程度(家庭裁判所が決定)
成年後見制度の注意点
- 費用が継続的にかかる:後見人への報酬は本人の財産から毎月支払われる
- 柔軟性が低い:裁判所の監督下に置かれるため、財産の積極的な運用は制限される
- 本人の意思が反映されにくい:判断能力が低下した後に始まるため、本人の希望が反映しにくい
判断能力があるうちに自分の希望を反映させたい場合は、任意後見制度の利用を検討するのが望ましいでしょう。成年後見制度について不安がある方は、地域の成年後見センターや、弁護士・司法書士の無料相談を活用することをおすすめします。