終活コラム

ネット銀行・ネット証券の相続手続き|必要書類と注意点を解説

ネット銀行・ネット証券の相続手続きをわかりやすく解説。通帳のないオンライン口座の調べ方・必要書類・手続きの流れと、生前にできる準備をまとめます。

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「親のスマホに見慣れないアプリがあって、調べたらネット銀行だった」——こういった経験が、相続の現場で増えています。

通帳も印鑑も存在しないネット銀行・ネット証券は、家族がその存在すら知らないまま相続手続きが漏れてしまうリスクがあります。一方で、手続き自体はオンラインや郵送で完結できるケースが多く、正しい流れを知っていれば決して難しくありません。

この記事では、ネット銀行・ネット証券の相続手続きの進め方、必要書類、そして生前にできる備えを詳しく解説します。

スマートフォンでネット銀行アプリを操作するシニア

ネット銀行・ネット証券の相続が難しい理由

ネット銀行やネット証券は、従来の金融機関と比べて相続時に特有の課題があります。その特徴を把握しておきましょう。

通帳・印鑑が存在しない

実店舗を持つ銀行では、通帳やキャッシュカードが口座の存在を示す手がかりになります。しかしネット銀行では通帳が発行されず、スマートフォンやパソコンでしか残高を確認できないため、遺族が気づきにくいのです。

郵便物が届かない

明細書なども多くの場合ペーパーレス化されており、自宅に金融機関からの封筒が届きません。郵便物を整理していても、口座の存在を発見するのが難しい状況です。

IDとパスワードが必要

仮に口座の存在がわかっても、故人のIDとパスワードがなければログインできません。パスワードを知らずにいると、残高の確認すらできない状態が続いてしまいます。

資産が眠ったままになるリスク

こうした事情から、ネット銀行・証券の資産は相続手続きが行われないまま放置されることがあります。一般的に、10年以上取引のない預金は「休眠預金」として預金保険機構に移管される制度もあります(金融庁参照)。早めの対応が大切です。

相続手続き前に口座を探す方法

まず、被相続人がどのネット銀行・ネット証券を利用していたかを特定することが先決です。

スマートフォンのアプリを確認する

インストールされているアプリの一覧を確認しましょう。各銀行・証券会社のアプリがあれば、口座を持っていた可能性があります。

主なネット銀行アプリの例:

  • 住信SBIネット銀行
  • 楽天銀行
  • PayPay銀行
  • auじぶん銀行
  • ソニー銀行

主なネット証券アプリの例:

  • SBI証券
  • 楽天証券
  • マネックス証券
  • auカブコム証券

メール・通知履歴を確認する

登録しているメールアカウントに、金融機関からの取引通知・明細メールが届いていないかを確認します。「振込」「残高」「取引」などのキーワードで検索すると見つかりやすいでしょう。

確定申告書の控えを見る

利子収入・配当金・株式の売却益がある場合、確定申告書の「雑所得」「配当所得」「株式等の譲渡所得」の欄に記載があります。ここから口座を特定できる場合があります。

クレジットカードの引き落とし履歴を確認する

ネット証券への入金に使っていたクレジットカードの明細に、証券会社名が記載されていることがあります。

パソコンで金融機関の口座情報を確認する様子

ネット銀行の相続手続きの流れ

口座が特定できたら、相続手続きを進めます。多くのネット銀行は書類の郵送や専用フォームからの申請に対応しています。

ステップ1:金融機関へ連絡する

各ネット銀行の公式サイトにある「相続手続きのご案内」ページから、手続き開始の連絡をします。多くの場合、以下のいずれかの方法で受け付けています。

  • 専用のウェブフォームからの申請
  • コールセンターへの電話
  • 郵送での申請書類の請求

ステップ2:必要書類を揃える

ネット銀行の相続手続きに一般的に必要な書類は、従来の銀行と大きく変わりません。

書類取得場所備考
被相続人の戸籍謄本(出生〜死亡まで)市区町村役場出生から死亡まで連続したもの
相続人全員の戸籍謄本市区町村役場現在のもの
相続人全員の印鑑証明書市区町村役場3か月以内のもの
遺産分割協議書 or 遺言書自作 or 公証役場遺言書がある場合は不要なケースも
金融機関所定の相続手続き申請書各社ウェブサイト or 郵送

なお、複数の金融機関で相続手続きを進める場合は、法定相続情報証明制度(法務局が相続関係一覧図を認証する制度)を活用すると、戸籍謄本の束の代わりとして使えるため便利です。

ステップ3:書類を郵送または提出する

書類が揃ったら、各ネット銀行の指定先に郵送します。多くの場合、窓口への来店は不要で、郵送で完結します。審査・確認が終わると、指定した相続人の口座に残高が振り込まれます。

ステップ4:IDやカードを失効・返却する

手続き完了後は、故人のキャッシュカード(発行されている場合)やログイン情報の廃棄を行います。不正利用のリスクを防ぐため、手続き完了後は速やかに対応しましょう。

ネット証券の相続手続きの流れ

ネット証券の相続手続きは、銀行口座の相続と似た流れですが、有価証券の移管という独自のプロセスがあります。

株式・投資信託の評価額を確認する

相続税の計算では、被相続人が亡くなった日の株価・基準価額が評価の基準になります。ネット証券に残高証明書の発行を依頼し、評価額を早めに把握しておきましょう。

相続税の基礎控除や計算方法については、相続税の基礎控除と計算方法で詳しく解説しています。

相続人の証券口座を用意する

株式や投資信託は現金化せずに相続することもできますが、その場合は相続人名義の証券口座への移管が必要です。多くの場合、被相続人と同じ証券会社に相続人の口座を開設する必要があります。

移管後は相続人が好きなタイミングで売却や運用を選択できます。

必要書類と申請方法

必要書類の基本はネット銀行と同様ですが、証券会社が指定する書類に加えて以下が求められることがあります。

  • 残高証明書(相続開始日時点の保有銘柄と評価額)
  • 取引残高報告書(直近のもの)
  • 移管先の口座情報(相続人名義)

各証券会社の公式サイトにある相続手続きガイドページを確認し、所定の申請書を入手しましょう。

ネット銀行・ネット証券を複数利用していた場合

被相続人が複数のネット金融機関を利用していた場合、それぞれで個別に手続きが必要です。効率よく進めるためのポイントを押さえておきましょう。

戸籍謄本は多めに準備する

戸籍謄本は金融機関ごとに原本が必要になるケースもあります(法定相続情報証明制度を使う場合を除く)。複数の手続きを並行する場合は、余分に取り寄せておくことをおすすめします。

手続きの進捗を一元管理する

どの金融機関の手続きがどの段階にあるか、書類の送付状況などを一覧表で管理すると混乱を防げます。相続の準備チェックリストも参考にしながら、全体を把握して進めましょう。

生前にできる備え:家族が困らないために

ネット銀行・ネット証券の相続で家族が最も困るのは「存在を知らない」「IDがわからない」という状況です。生前に少しの準備をしておくだけで、家族の負担は大きく変わります。

口座情報を記録しておく

以下の情報をエンディングノートや記録ツールに残しておきましょう。

  • 金融機関名(ネット銀行・証券の名前)
  • ログインに使うメールアドレス
  • アプリやウェブサービスのURL
  • 保管場所(スマートフォン・パソコン)

パスワード自体を直接書き残すのは紛失・盗難のリスクがあります。パスワードマネージャーを使っている場合は、そのマスターパスワードだけを信頼できる家族に伝える方法が安全です。パスワード管理ツールの選び方(終活目線)も参考にしてみてください。

デジタル遺品全体の整理も合わせて

ネット口座はデジタル遺品の一部です。SNSアカウントやサブスクリプション、クラウドデータなど、他のデジタル遺品についても合わせて整理しておくと安心です。デジタル遺品の整理方法で全体的な対策を確認しておきましょう。

そなえでネット口座情報を安全に管理しよう

「そなえ」では、ネット銀行・証券口座の情報をデジタルで安全に管理できます。

  • 金融機関名・ログイン情報の記録を暗号化して保管
  • もしもの時に指定した家族へ必要な情報を届ける仕組み
  • いつでもスマホから追加・更新が可能
  • 紙に書き残すのが不安な情報も安心して管理できる

「スマホに何十ものアプリがあって、どれが口座かわからない」という状況を作らないために、今のうちに情報を整理しておくことが大切です。

まとめ

ネット銀行・ネット証券の相続手続きは、口座の存在を把握するところから始まるという点が、従来の金融機関と大きく異なります。

手続き自体は郵送で完結できるものが多く、書類の準備さえ整えば大きな障壁はありません。しかし口座の発見が遅れると、資産が長期間放置されるリスクがあることも忘れてはなりません。

生前にできる最善の対策は、どのネット銀行・証券を利用しているかを記録し、家族が知れる状態にしておくこと終活の一環として、今日からデジタル口座の一覧作りを始めてみましょう。

ネット銀行・ネット証券の相続手続き|必要書類と注意点を解説