終活コラム

夫婦で始める終活|パートナーと話し合うべきことと進め方

夫婦で終活を始めたい方へ。パートナーと話し合うべき項目、役割分担のコツ、二人で備えるメリットを具体的に解説します。

|9分で読めます

「終活を始めたいけど、夫(妻)とどう話を切り出せばいいかわからない」——そんな声をよく耳にします。

終活とは、人生の終わりに向けた備えのこと。一人で進めることもできますが、パートナーと一緒に取り組むことで、情報の共有がスムーズになり、お互いの希望を尊重した備えが可能になります。

この記事では、夫婦で終活を始める方法、話し合うべき具体的な項目、そして二人で備えるからこそ得られるメリットを解説します。

夫婦で終活について話し合う様子

なぜ夫婦で終活に取り組むべきなのか

「片方だけが知っている」リスク

夫婦であっても、お互いの財産や契約の全容を把握できていないケースは少なくありません。

  • 配偶者名義の銀行口座がどこにいくつあるか知らない
  • 生命保険の受取人が誰に設定されているか確認していない
  • 住宅ローンの残債や団体信用生命保険の内容を把握していない
  • 相手のスマホのパスワードを知らない

どちらか一方が突然入院したり、認知症を発症した場合、もう一方が必要な手続きをすべて担うことになります。事前に情報を共有しておかなければ、口座の凍結や保険金の請求で苦労することになりかねません。

二人だから漏れを防げる

終活の準備は項目が多岐にわたります。一人で考えていると見落としがちなことも、二人で取り組めば「あ、それも必要だね」と気づけるものです。実際に、夫婦でエンディングノートを書き進めると、一人では思い出せなかった保険の情報や、忘れていたサブスクの契約に気づくことがよくあります。

お互いの希望を「直接」確認できる

葬儀の形式、延命治療の希望、お墓の種類——こうしたデリケートなテーマは、第三者を介するよりも、パートナーと直接話し合うほうが確実です。「聞きにくい」と感じるかもしれませんが、元気なうちに確認しておくことが、後悔のない備えにつながります。

夫婦で話し合うべき6つの項目

1. 財産の全体像を共有する

最優先で取り組みたいのが、お互いの財産の把握です。以下の項目をそれぞれ一覧にして、二人で共有しましょう。

項目確認すべきこと
預貯金銀行名・支店・口座番号・おおよその残高
不動産名義・所在地・ローン残高
有価証券証券会社・保有銘柄
生命保険保険会社・証券番号・受取人・保障内容
年金受給額・種類(厚生年金・国民年金・企業年金)
負債ローン残高・保証人の有無
デジタル資産ネット銀行・暗号資産・ポイント

特に重要なのが生命保険の受取人の確認です。結婚前に加入した保険の受取人が親のままになっているケースがあります。定期的な見直しをおすすめします。

詳しくは相続の準備チェックリストも参考にしてください。

2. 医療・介護の希望

延命治療を望むかどうか、在宅介護と施設介護のどちらを希望するか。こうした医療・介護に関する意思は、元気なうちに夫婦で共有しておくべき項目です。

話し合っておきたいポイント:

  • 延命治療(人工呼吸器・胃ろうなど)の希望
  • 臓器提供・献体への意思
  • 認知症になった場合の介護方針
  • 在宅介護と施設介護の希望
  • かかりつけ医の情報共有

リビングウィルの書き方を二人で読みながら、それぞれの希望を書き出してみると進めやすいでしょう。

3. 葬儀とお墓の希望

葬儀の規模やスタイル、お墓の形態は、本人の希望と家族の意向が食い違いやすい領域です。夫婦間で事前に擦り合わせておきましょう。

「同じお墓に入るかどうか」は、近年特に関心が高まっているテーマです。実家のお墓の承継問題とも関わるため、早めに話し合っておくことをおすすめします。

4. 遺言書の作成

夫婦であっても、遺言書はそれぞれ別々に作成する必要があります。日本の民法では共同遺言は認められていません(民法975条)。

夫婦でエンディングノートを一緒に書いている様子

夫婦で遺言書を作成する際に検討したい内容:

  • 配偶者にどの財産を相続させるか
  • 子どもへの分配割合
  • 配偶者居住権の活用(自宅に住み続ける権利を確保)
  • 遺言執行者の指定

特に配偶者居住権は、2020年4月に施行された比較的新しい制度です。残された配偶者が自宅に住み続けながら、預貯金などの生活資金も確保しやすくなる仕組みで、夫婦の相続設計では重要な選択肢になっています。

遺言書の具体的な書き方は遺言書の書き方ガイドをご覧ください。

5. デジタル遺品の整理

スマホやPCのパスワード、SNSアカウント、サブスクリプションなど、デジタル遺品の整理も夫婦で共有しておきたい項目です。

最低限、以下は互いに把握しておきましょう。

  • スマホのロック解除方法
  • 主要なメールアカウントのパスワード
  • ネットバンキングのログイン情報
  • 契約中のサブスクリプション一覧
  • SNSアカウントの処理方針

パスワードの一覧はパスワード管理ツールを使って管理すると安全です。紙にメモして金庫に保管する方法も有効ですが、更新のたびに書き直す手間がかかります。

6. 「もしも片方が先に」のシミュレーション

夫婦の終活で見落としがちなのが、どちらか一方が先に亡くなった後の生活設計です。

確認しておきたい項目:

  • 遺族年金の受給見込み額
  • 片方の収入がなくなった場合の家計シミュレーション
  • 住宅の維持にかかる費用
  • 一人になった場合の生活拠点(自宅を維持するか、住み替えるか)
  • 子どもや親族との連絡体制

特に遺族年金は受給条件が複雑なため、事前に年金事務所やねんきんネットで確認しておくと安心です。詳しくは遺族年金の解説記事も参考になります。

夫婦の終活を始める3つのステップ

ステップ1:きっかけを自然につくる

いきなり「終活しよう」と切り出すと、身構えてしまうパートナーもいるかもしれません。自然なきっかけを活用しましょう。

  • テレビやニュースで終活や相続の話題が出た時
  • 親や知人の葬儀に参列した後
  • 年末年始やお盆の帰省時
  • 終活セミナーに夫婦で参加してみる
  • 「エンディングノートを買ってみたんだけど、一緒にやらない?」と声をかける

大切なのは、説得するのではなく、一緒に考える姿勢を見せることです。

ステップ2:エンディングノートを一緒に書く

夫婦の終活の入口として最もおすすめなのが、エンディングノートを一緒に書くことです。

おすすめの進め方:

  1. 二人分のエンディングノートを用意する
  2. 同じ時間に、同じテーブルで書き始める
  3. 書きやすい項目(氏名・生年月日・家族構成)から始める
  4. 「これ、どう書いた?」と見せ合いながら進める
  5. 一度に全部書こうとせず、何回かに分けて進める

エンディングノートの共有方法も合わせて読んでおくと、書いた後の保管や子どもへの伝え方もスムーズです。

ステップ3:年に一度の「見直し日」を決める

終活は一度やったら終わりではありません。家族構成の変化、資産の増減、健康状態の変化に合わせて、定期的に内容を見直す必要があります。

おすすめは結婚記念日や誕生日を「終活見直しの日」にすること。毎年決まったタイミングで二人で内容を確認する習慣をつけることで、情報が古くならず、お互いの希望の変化にも対応できます。

パートナーが乗り気でないときの対処法

終活に対する温度差は、夫婦の間でもよくあることです。「まだ早い」「縁起が悪い」と感じるパートナーに対して、強引に進めるのは逆効果です。

有効なアプローチ

  • まず自分が始める:自分のエンディングノートを書いて見せることで、「思ったより簡単そう」と感じてもらう
  • 家族の話題から入る:「〇〇さんの家の相続が大変だったらしい」など、身近な事例をきっかけにする
  • 実用的な面から伝える:「保険の受取人、確認しておかない?」「パスワード、私だけ知らないと困るよね」など具体的に
  • 終活の費用を見せる:何も備えないことで発生するコスト(相続税の増加、手続き費用)を知ってもらう

焦らず、少しずつ。パートナーのペースに合わせながら進めていくことが大切です。

夫婦で作成すべき書類一覧

夫婦の終活で用意しておきたい書類をまとめました。

書類必要性備考
エンディングノート必須(各自1冊)法的効力なし。希望や情報の整理用
遺言書強く推奨(各自1通)公正証書遺言が確実
財産一覧表必須(世帯で1枚+各自の個別分)預貯金・保険・不動産を網羅
リビングウィル推奨(各自1枚)医療の意思表示
パスワード一覧必須(各自1枚)安全な場所に保管
保険証券のコピー推奨受取人・保障内容を二人で確認

そなえで夫婦の終活をもっと手軽に

夫婦で終活を進めるなら、情報の一元管理と共有がカギになります。「そなえ」では、二人分のエンディングノートをデジタルで作成・管理できます。

  • それぞれのエンディングノートをスマホで簡単に作成
  • 財産情報やパスワードを安全に記録
  • もしもの時に、パートナーや家族に必要な情報が届く
  • いつでも更新できるから、年に一度の見直しもスムーズ

紙のノートだと紛失や災害のリスクがありますが、デジタルなら安心。二人で同時に進められるのも大きなメリットです。

まとめ

夫婦の終活は、お互いを思いやるからこそできる大切な備えです。一人で抱え込まず、パートナーと情報を共有し、希望を確認し合うことで、どちらが先に旅立っても慌てない準備が整います。

まずはエンディングノートを二人で開くことから始めてみてください。完璧を目指す必要はありません。「今日できることから、一緒に」——それが夫婦の終活の第一歩です。