「もし自分が亡くなったら、LINEの友だちにはどう伝わるんだろう?」
日本で月間9,700万人以上が利用しているとされるLINEは、もはや社会インフラと呼べるほど私たちの生活に根づいたコミュニケーションツールです。家族との連絡、友人とのやり取り、仕事のグループ——日常の大切な会話がすべてLINEに集約されている方も少なくないでしょう。
しかし、その身近さゆえに見落としがちなのが「自分に万が一のことがあったとき、LINEアカウントはどうなるのか」という問題です。LINEアカウントの死後対策とは、本人が亡くなった後のアカウントの取り扱いについて、生前に方針を決めて準備しておくことを指します。
この記事では、LINEアカウントの死後の扱い、遺族が行う手続きの流れ、そして今からできる具体的な備えを詳しく解説します。
LINEアカウントは死後どうなるのか
LINEアカウントは、本人が亡くなったからといって自動的に削除されるわけではありません。具体的にどうなるかは、携帯電話の契約状況によって異なります。
携帯電話の契約が続いている場合
遺族が携帯電話の解約手続きをしていない間は、LINEアカウントはそのまま残り続けます。友だちリストには故人の名前が表示され続け、メッセージを送ることもできてしまいます(ただし既読はつきません)。
電話番号が解約された場合
携帯電話を解約すると、LINEアカウントへのログインができなくなります。ただし、解約しただけではアカウントやデータがすぐに削除されるとは限りません。電話番号がキャリアによって別の人に再割り当てされた場合、その新しい利用者がLINEに登録する際に、元のアカウントが上書きされる可能性があります。
FacebookやGoogleと異なる点
FacebookやInstagramには「追悼アカウント」の仕組みがあり、生前に管理人を指定しておくことができます。Googleにも「アカウント無効化管理ツール」があり、一定期間ログインがなければ指定した相手にデータを共有できます。
一方、LINEにはこうした死後の管理機能が一切ありません。この点が、LINEの死後対策を考えるうえで最も重要なポイントです。
| サービス | 追悼アカウント | 生前の死後設定 | 遺族による削除 |
|---|---|---|---|
| あり | 管理人を事前指定可能 | 可能 | |
| なし(無効化管理あり) | データ共有先を指定可能 | 可能 | |
| LINE | なし | なし | 削除申請のみ可能 |
| X(旧Twitter) | なし | なし | 削除申請のみ可能 |
SNSアカウントの死後対策では、各プラットフォームの手続きを横断的にまとめていますので、LINE以外のサービスも一緒に確認しておくと安心です。
遺族がLINEアカウントを削除する手順
故人のLINEアカウントを削除したい場合、遺族はLINEの運営に直接申請する必要があります。以下の手順で進めましょう。
削除申請の流れ
- LINEの問い合わせフォームにアクセスする:LINEヘルプセンターの「お問い合わせ」から、「アカウント・登録情報」→「アカウント削除」に進みます
- 必要事項を入力する:故人のLINE登録名(表示名)、LINE ID(わかる場合)、登録していた電話番号を記入します
- 死亡を確認できる書類を提出する:死亡診断書のコピーや除籍謄本など、故人の死亡を証明する公的書類を添付します
- 申請者の身元確認:申請者が遺族であることの確認が求められる場合があります
- 審査・削除完了:LINEの運営が審査を行い、確認が取れればアカウントが削除されます
削除申請時の注意点
削除申請には、いくつか注意すべきポイントがあります。
- トーク履歴はすべて消える:アカウント削除後はトーク履歴、友だちリスト、アルバム、Keepのデータなど、すべてのデータが完全に削除されます。復元はできません
- LINE Payの残高確認が先:故人がLINE Payを利用していた場合、残高がある可能性があります。削除前にLINE Pay残高の確認と払い戻し手続きを検討しましょう
- グループトークへの影響:故人がグループトークに参加していた場合、削除後はそのグループから退出した状態になります
- 処理に時間がかかる場合がある:申請から削除完了まで、数週間程度かかることがあります
故人のLINEトーク履歴は見られるのか
遺族にとって気になるのが、故人のトーク履歴を読めるかどうかです。結論から言えば、原則として遺族がトーク履歴を閲覧することは非常に困難です。
LINEの暗号化の仕組み
LINEは「Letter Sealing」と呼ばれるエンドツーエンド暗号化を採用しています。これは、メッセージの送信者と受信者の端末でのみ内容を復号できる仕組みで、LINEの運営側であってもトークの中身を閲覧することはできません。
そのため、LINEに問い合わせてもトーク履歴を提供してもらうことはできないのです。
端末にアクセスできる場合
故人のスマートフォンのロックを解除できれば、端末上のLINEアプリからトーク履歴を確認できる可能性があります。ただし、スマホのロック解除自体が大きなハードルです。
スマホのロック解除と遺族アクセスで、iPhone・Android別のアクセス方法を詳しく解説しています。
トーク履歴を保存する方法
LINEには、トーク履歴をテキストファイルとしてエクスポートする機能があります。大切なやり取りがある場合は、生前にバックアップしておくことが最も確実な方法です。
- iPhone:iCloudへのバックアップ設定(LINEの設定→トークのバックアップ→今すぐバックアップ)
- Android:Googleドライブへのバックアップ設定(LINEの設定→トークのバックアップ・復元→Googleドライブにバックアップ)
- 個別トーク:トーク画面右上の「≡」→「その他」→「トーク履歴を送信」でテキストファイルとして保存
生前にやっておくべき5つの備え
LINEには死後の管理機能がないからこそ、生前の備えがより重要になります。以下の5つのステップで準備しておきましょう。
1. LINEの登録情報をエンディングノートに記録する
エンディングノートやデジタル資産一覧に、以下の情報を記録しておきます。
- LINEに登録している電話番号
- メールアドレス(登録している場合)
- LINE IDとパスワード
- 死後の希望(削除するか、訃報の連絡に使ってほしいかなど)
2. トーク履歴の自動バックアップを設定する
大切なトーク履歴を失わないために、自動バックアップの設定をオンにしておきましょう。iPhoneならiCloud、AndroidならGoogleドライブに定期的にバックアップされます。
3. 大切なメッセージをKeepメモに保存する
特に残しておきたいメッセージや写真は、LINEの「Keepメモ」に保存しておくと、トーク画面をさかのぼって探す手間が省けます。ただし、Keepメモもアカウント削除時には消えるため、最終的には端末外へのエクスポートが必要です。
4. 家族にLINEの利用状況を伝えておく
LINEで日常的にやり取りしている相手(友人、仕事関係者など)を家族に伝えておくことで、万が一の際の連絡がスムーズになります。
- 主な連絡相手の名前と関係性
- 仕事で使っているグループがあるかどうか
- LINE Pay の利用有無と残高の目安
5. 訃報連絡の方針を決めておく
故人のスマホにアクセスできた場合、LINEで訃報を伝えることは現実的な選択肢です。しかし、故人のアカウントから突然メッセージが届くことに驚く人もいます。
事前に「LINEで訃報を伝えてほしい」「連絡は電話やメールにしてほしい」といった希望を伝えておくと、遺族が判断に迷わずに済みます。エンディングノートの書き方に、連絡方法の希望を記載する欄を設けておくとよいでしょう。
LINE以外のデジタル資産も一緒に備えよう
LINEだけを個別に対策するよりも、デジタル資産全体をまとめて整理するのが効率的です。
デジタル終活とはの記事で解説している「7つのステップ」に沿って進めれば、LINEを含むすべてのデジタル資産を網羅的に整理できます。
特に以下の記事を合わせて確認しておくことをおすすめします。
- パスワード管理の終活対策——パスワードの安全な記録方法
- Googleアカウント無効化管理ツールの使い方——Googleの死後設定
- サブスクリプションの解約・整理方法——不要な課金を止める方法
そなえでLINE情報も安全に記録
LINEのアカウント情報やパスワードを紙に書き残すのはセキュリティが心配という方も多いでしょう。「そなえ」なら、デジタル情報を暗号化して安全に保管できます。
- LINEのID・パスワード・死後の方針を暗号化して記録
- もしもの時に指定した家族へ日時指定で情報をお届け
- スマホから簡単に更新できるので、パスワードを変更してもすぐ反映
- LINEだけでなく、SNS・ネット銀行・サブスクなどデジタル資産を一元管理
大切なアカウント情報は、安全なデジタルの仕組みで管理するのが今の時代にあった備え方です。
まとめ
LINEは私たちにとって最も身近なコミュニケーションツールですが、死後の管理機能がないため、生前の備えがとりわけ重要です。
- LINEアカウントは本人が亡くなっても自動削除されず、遺族がLINEに削除申請を行う必要がある
- トーク履歴は暗号化されており、遺族による閲覧は原則としてできないため、生前のバックアップが大切
- 登録情報・利用状況・死後の希望をエンディングノートやデジタル資産一覧に記録しておく
- LINE単体ではなく、デジタル資産全体をまとめて整理するのが効率的
まずはLINEの設定画面を開いて、トーク履歴の自動バックアップがオンになっているか確認するところから始めてみてください。