終活コラム

介護費用の相場はいくら?|在宅・施設別の月額目安と負担を抑える制度を解説

介護費用の相場を在宅介護・施設介護別に月額で解説。要介護度ごとの平均費用、一時金の目安、介護保険の負担軽減制度まで、家族が知っておきたい費用の全体像をまとめました。

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「親の介護が必要になったら、いったいいくらかかるの?」「今の貯蓄で足りるだろうか」——介護の費用は、多くの方が漠然とした不安を抱えるテーマです。

介護費用の相場とは、在宅介護や施設介護にかかる月々の出費の平均的な水準のことです。要介護度やサービスの利用量、施設の種類によって金額は大きく変わりますが、全体像を把握しておくことで「いくら備えておけばいいか」の目安が見えてきます。

しかし実際には、介護保険制度の自己負担割合や負担軽減制度を知らないために、実態よりも高く見積もってしまう方も少なくありません。この記事では、在宅・施設それぞれの介護費用の相場を具体的な金額で解説し、費用を抑えるために活用したい制度までまとめました。

電卓と介護費用の資料を前に相談する家族

介護費用の全体像|一時費用と月額費用

介護費用は大きく「一時的にかかる費用」と「毎月かかる費用」の2つに分けられます。まずは全体像を把握しましょう。

費用の種類内容金額の目安
一時費用住宅改修・介護用ベッド購入・施設入居金など数万〜数百万円
月額費用(在宅)介護サービス自己負担+生活費+消耗品3〜10万円
月額費用(施設)施設利用料+食費+居住費+日用品費8〜35万円

生命保険文化センターの調査(2021年度)によると、介護にかかる一時費用の平均は約74万円、月々の費用は平均約8.3万円と報告されています。ただし、これはあくまで平均値であり、要介護度や利用するサービスの内容によって個人差が非常に大きいことを覚えておきましょう。

介護期間の目安

同調査では、介護期間の平均は約5年1ヶ月(61.1ヶ月)とされています。しかし10年以上介護が続くケースも全体の約17%を占めており、長期化への備えも重要です。

介護費用の総額を単純計算すると「74万円 + 8.3万円 × 61ヶ月 = 約580万円」が平均的な目安となりますが、施設入居が必要になった場合はこれを大幅に上回る可能性があります。

在宅介護の費用相場|要介護度別の月額目安

在宅介護の費用は、介護保険サービスの自己負担分と、保険外でかかる費用の合計です。

介護保険サービスの自己負担

介護保険を利用する場合、サービス費用の1〜3割が自己負担になります。負担割合は本人の所得によって決まります。

負担割合対象者
1割合計所得金額160万円未満の方(大多数が該当)
2割合計所得金額160万円以上220万円未満の方
3割合計所得金額220万円以上の方

要介護度ごとの支給限度額と、限度額いっぱいまで利用した場合の自己負担の目安は以下の通りです。

要介護度支給限度額(月額)自己負担1割の場合自己負担2割の場合
要支援1約50,320円約5,032円約10,064円
要支援2約105,310円約10,531円約21,062円
要介護1約167,650円約16,765円約33,530円
要介護2約197,050円約19,705円約39,410円
要介護3約270,480円約27,048円約54,096円
要介護4約309,380円約30,938円約61,876円
要介護5約362,170円約36,217円約72,434円

※金額は2024年度の介護報酬に基づく概算です。地域区分や利用するサービスの種類によって前後します。

実際には支給限度額の満額を使わない方も多く、要介護1〜2であれば月々5,000〜15,000円程度、要介護3〜5でも10,000〜30,000円程度の自己負担で済んでいるケースが一般的です。

介護保険外でかかる費用

介護保険の自己負担に加えて、以下のような費用が発生します。

  • おむつ・介護用品: 月5,000〜15,000円程度
  • 食事(配食サービス等): 利用頻度による(1食500〜800円程度)
  • 住宅改修の自己負担: 手すり設置・段差解消など(保険適用で1〜3割負担、上限20万円まで)
  • 福祉用具レンタル: 車いす・介護ベッドなど(保険適用で月数百〜数千円)
  • 交通費: 通院や送迎にかかる費用
  • 家事代行・見守りサービス: 保険外で利用する場合は全額自己負担
在宅介護で訪問ヘルパーのサービスを受ける高齢者

施設介護の費用相場|施設タイプ別に比較

施設に入居する場合の費用は、施設の種類によって大きく異なります。主な施設タイプごとの費用相場を比較してみましょう。

施設の種類入居一時金の目安月額費用の目安主な対象者
特別養護老人ホーム(特養)なし8〜15万円要介護3以上
介護老人保健施設(老健)なし10〜17万円要介護1以上(リハビリ目的)
介護医療院なし10〜20万円長期の医療・介護が必要な方
グループホーム0〜数十万円12〜20万円認知症の要支援2以上
介護付き有料老人ホーム0〜数千万円15〜35万円要介護1以上(施設による)
住宅型有料老人ホーム0〜数百万円12〜30万円自立〜要介護5
サービス付き高齢者向け住宅敷金程度10〜25万円自立〜要介護(軽度が多い)

公的施設(特養・老健・介護医療院)は入居一時金が不要で月額も比較的安い反面、入居条件が厳しかったり待機が長かったりする傾向があります。一方、民間施設(有料老人ホーム・サ高住)は費用が高めですが、すぐに入居できるケースが多く、サービスの選択肢も広いのが特徴です。

特別養護老人ホームの費用では、特養の費用内訳や負担軽減制度を詳しく解説しています。最も費用を抑えたい方はぜひ確認してみてください。

入居一時金について

有料老人ホームの入居一時金は、施設によって0円のところから数千万円かかるところまでさまざまです。近年は「入居一時金0円」を謳う施設が増えていますが、その分月額費用が高めに設定されているケースが一般的です。

入居一時金を支払うタイプでは、一定期間(5〜15年程度)で償却される仕組みが多く、途中退去の場合は未償却分が返還されます。契約前に償却期間と返還条件を必ず確認しましょう。

要介護度が上がると費用はどう変わる?

介護が長期化し要介護度が上がると、サービスの利用量が増えて費用も段階的に上昇します。

段階想定される状況在宅の場合の月額目安施設を検討するタイミング
要介護1〜2一部見守り・生活援助が必要3〜7万円
要介護3常時介護が必要。排泄・入浴に介助7〜12万円在宅の限界を感じ始める
要介護4〜5ほぼ全面的な介護。寝たきり・認知症重度10〜15万円以上施設入居を具体的に検討

在宅介護を続ける場合、要介護度が上がるほど家族の負担(時間的・身体的・精神的)も大きくなります。介護離職による収入減まで含めると、「在宅のほうが安い」とは一概に言えない場合もあるでしょう。

ケアマネジャーの役割と選び方で解説している通り、費用面の不安はケアマネジャーに相談することで、利用可能な制度や最適なサービスの組み合わせを提案してもらえます。

介護費用を抑える5つの公的制度

「思ったより高い」と感じた方もいるかもしれませんが、介護費用を軽減するための公的制度が複数整備されています。条件に該当するか確認し、使えるものは積極的に活用しましょう。

1. 高額介護サービス費

1ヶ月の介護サービス自己負担額が上限を超えた場合、超過分が後から支給される制度です。

所得区分月の上限額
課税所得690万円以上140,100円(世帯)
課税所得380万〜690万円未満93,000円(世帯)
課税所得380万円未満(市民税課税)44,400円(世帯)
世帯全員が市民税非課税24,600円(世帯)
合計所得+年金収入80万円以下15,000円(個人)

多くの高齢者世帯では月額24,600〜44,400円が上限となるため、これを超える自己負担が発生した場合は必ず申請しましょう。初回のみ申請が必要で、以降は自動的に支給されます。

2. 特定入所者介護サービス費(負担限度額認定)

施設入居時の居住費・食費を大幅に軽減する制度です。所得と資産が一定基準以下の方が対象で、適用されると施設の月額費用が半額以下になるケースもあります。

市区町村の介護保険担当窓口で「負担限度額認定」を申請し、認定証を施設に提示する必要があります。

3. 高額医療・高額介護合算療養費制度

1年間(8月〜翌7月)の医療保険と介護保険の自己負担合計が基準額を超えた場合に、超過分が支給される制度です。医療費と介護費の両方がかかっている世帯にとって有効な制度といえます。

4. 医療費控除

介護サービスの一部は確定申告の医療費控除の対象になります。

医療費控除の対象となる介護サービス(主なもの):

  • 訪問看護、訪問リハビリテーション
  • 通所リハビリテーション(デイケア)
  • 短期入所療養介護(ショートステイ・医療型)
  • 施設サービス(特養は自己負担額の1/2、老健・介護医療院は全額)

対象となるサービスを利用している場合、領収書を保管して確定申告で控除を受けましょう。

5. 自治体独自の助成制度

市区町村によっては、独自の介護費用助成制度を設けているところがあります。

  • おむつ代の助成(月額5,000〜10,000円程度の自治体が多い)
  • 住宅改修費の上乗せ助成
  • 介護タクシー利用券の交付
  • 家族介護者への慰労金
  • 配食サービスの補助

お住まいの自治体の介護保険課に問い合わせるか、地域包括支援センターに相談すると、利用できる制度を教えてもらえます。

介護費用は誰が負担する?家族間の話し合い

「介護のお金は誰が出すのか」は、多くの家族がぶつかる問題です。事前に話し合っておくことで、いざというときの混乱を防げます。

基本的な考え方

介護費用は原則として本人の年金・貯蓄から支払うのが一般的です。その上で不足する分を家族がどうサポートするか、という順序で考えましょう。

資金源具体例活用のポイント
本人の年金老齢年金・遺族年金月額の介護費用に充てる
本人の貯蓄預金・保険の解約返戻金一時費用や不足分に充てる
家族からの支援兄弟姉妹で分担無理のない範囲で。金額と期間を明確に
公的制度各種負担軽減制度使えるものはすべて活用する

話し合いのポイント

  • 親の資産状況(年金額・貯蓄・保険)をできるだけ把握する
  • 兄弟姉妹がいる場合は、費用負担と介護の役割分担をセットで話し合う
  • 「今は払えるが5年後は?」と長期的な視点を持つ
  • 施設入居が必要になった場合の費用も想定に含める

兄弟間の相続の話し合いでも触れている通り、お金の問題は早めに共有しておくことで、後のトラブルを防ぐことができます。

そなえで介護費用の備えを「見える化」する

介護費用への備えで最も大切なのは、「今使える資金がいくらあるか」「毎月いくらまでなら支払えるか」を家族間で共有しておくことです。いざ介護が始まってから慌てて情報を集めるのは、精神的にも大きな負担になります。

「そなえ」では、介護に備えた情報をデジタルで記録し、家族と共有しておくことができます。

  • 年金の受給額や貯蓄の目安を安全に記録
  • 利用している保険(介護保険・生命保険)の情報を整理
  • 介護に対する希望(在宅を望むか、施設でもよいか)を明文化
  • 日時指定のビデオメッセージで、家族への想いや希望を伝える

介護費用の問題は「お金の話」であると同時に「家族の話」でもあります。元気なうちに情報を共有しておくことが、家族全員の安心につながるでしょう。

まとめ

介護費用の相場は、在宅か施設か、要介護度はどの程度か、どの施設を選ぶかによって大きく変わります。漠然と不安に感じるよりも、具体的な数字を把握して「備えるべき金額」の目安を持つことが大切です。

  • 在宅介護の月額: 要介護度に応じて3〜15万円が目安。保険外の費用も含めて考える
  • 施設介護の月額: 特養で8〜15万円、有料老人ホームで15〜35万円。入居一時金も要確認
  • 負担軽減制度: 高額介護サービス費・負担限度額認定など、使える制度は積極的に活用
  • 家族の話し合い: 本人の年金・貯蓄を基本に、長期的な視点で費用負担の方針を決める

「まだ先の話」と思っている方も、要介護認定の申請方法とあわせて、費用の全体像を把握しておくと安心です。備えておくことで、いざという時に落ち着いて判断できるようになります。

介護費用の相場はいくら?|在宅・施設別の月額目安と負担を抑える制度を解説