終活コラム

特別養護老人ホームの費用|月額の内訳・負担軽減制度・入居条件を徹底解説

特別養護老人ホーム(特養)の費用を月額内訳・居室タイプ別に解説。負担限度額認定や高額介護サービス費など費用を抑える制度、入居条件・待機を短くする方法もまとめました。

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「特養の費用って実際いくらかかるの?」「年金だけで払えるのだろうか」——特別養護老人ホームへの入居を検討するとき、費用は最も気になるポイントではないでしょうか。

特別養護老人ホーム(特養)とは、要介護3以上の高齢者が入居できる公的な介護施設のことです。民間の有料老人ホームと比べて費用が大幅に安く、入居一時金も不要なため、年金収入で支払える施設として人気があります。一方で、費用の内訳がわかりにくかったり、負担軽減制度の存在を知らなかったりする方も少なくありません。

この記事では、特養の費用を月額の内訳・居室タイプ別に具体的に解説し、費用を抑えるための公的制度や、入居条件・待機を短くするためのポイントまでまとめました。

特別養護老人ホームの明るい居室で過ごす高齢者

特養の月額費用の内訳|何にいくらかかる?

特養の費用は、主に4つの項目で構成されています。それぞれの内容と目安金額を確認しましょう。

費用項目内容月額の目安
介護サービス費介護保険の自己負担分(1〜3割)約20,000〜30,000円
居住費部屋代(居室タイプで変動)約25,000〜60,000円
食費1日3食分約42,000〜45,000円
日常生活費理美容・日用品・レクリエーション費など約5,000〜15,000円

介護サービス費

介護保険の対象となるサービスへの自己負担です。要介護度が高いほど、また所得が多いほど負担額が上がります。

  • 負担割合: 所得に応じて1割・2割・3割のいずれか
  • 要介護度による差: 要介護3と要介護5では月額で5,000〜8,000円程度の差
  • 加算: 看取り介護加算・個別機能訓練加算など、施設のサービス内容によって加算がつく場合あり

居住費

居室のタイプによって大きく異なります。居住費は介護保険の対象外ですが、低所得の方には負担軽減制度があります(後述)。

居室タイプ特徴月額居住費の目安
多床室(相部屋)2〜4人部屋。費用が最も安い約25,650円
従来型個室個室だがユニットケアではない約35,130円
ユニット型準個室ユニットケア。壁が天井まで届かない約50,040円
ユニット型個室完全個室。リビングを共有するユニットケア約60,180円

※金額は厚生労働省が定める基準費用額(2024年度)を参考にしています。施設によって多少前後します。

食費

特養の食費は国が基準額を定めており、1日あたり1,445円(月額約43,350円)が目安です。施設によっては食事の内容(ソフト食・きざみ食など)に応じて変わることもありますが、大きな差はありません。

日常生活費

施設が任意で設定する費用で、内容は施設により異なります。

  • 理美容代(月1回のカットで1,000〜3,000円程度)
  • おむつ代(特養では施設負担の場合が多い)
  • レクリエーション材料費
  • 日用品(歯ブラシ・ティッシュなど持ち込まない場合)
  • 医療費(往診や処方薬は別途)

居室タイプ別|月額費用のシミュレーション

具体的に「月々いくらかかるのか」を、要介護3・自己負担1割の方を例にシミュレーションしてみましょう。

費用項目多床室ユニット型個室
介護サービス費(1割)約22,000円約23,500円
居住費約25,650円約60,180円
食費約43,350円約43,350円
日常生活費約10,000円約10,000円
月額合計約101,000円約137,030円

要介護5・自己負担1割の場合は、上記にそれぞれ5,000〜8,000円程度加算されます。

ユニット型個室は費用が高くなりますが、プライバシーが確保されて少人数のユニットで家庭的なケアを受けられるというメリットがあります。近年の新設施設はユニット型が主流になっており、従来型の多床室は減少傾向にあります。

特養の費用明細を確認する家族

費用を大幅に抑える3つの負担軽減制度

「月10万円以上も年金だけでは厳しい」という方のために、公的な費用軽減制度が複数用意されています。条件に該当する方はぜひ活用しましょう。

制度1:負担限度額認定(特定入所者介護サービス費)

最も効果が大きいのがこの制度です。所得と資産が一定基準以下の方は、居住費と食費に上限額が設定され、基準費用額との差額が介護保険から給付されます。

利用者負担段階対象者食費(日額)多床室居住費(日額)ユニット型個室居住費(日額)
第1段階生活保護受給者・老齢福祉年金受給者300円0円820円
第2段階年金収入等80万円以下+預貯金650万円以下390円370円820円
第3段階①年金収入等80万円超120万円以下+預貯金550万円以下650円370円1,310円
第3段階②年金収入等120万円超+預貯金500万円以下1,360円370円1,310円

※預貯金基準は単身の場合。配偶者がいる場合は基準が異なります。

この制度を使うと月額がどう変わるか(多床室・要介護3の例):

段階通常軽減後削減額
第2段階約101,000円約45,000円程度約56,000円
第3段階①約101,000円約57,000円程度約44,000円

申請先は市区町村の介護保険担当窓口です。認定を受けると「介護保険負担限度額認定証」が発行され、施設に提示することで軽減された金額が適用されます。

制度2:高額介護サービス費

1ヶ月の介護サービス費の自己負担額が上限を超えた場合、超過分が後から払い戻される制度です。

区分月額の自己負担上限
課税所得690万円以上140,100円(世帯)
課税所得380万〜690万円未満93,000円(世帯)
課税所得380万円未満(市民税課税)44,400円(世帯)
世帯全員が市民税非課税24,600円(世帯)
前年の合計所得金額と年金収入の合計が80万円以下24,600円(世帯)・15,000円(個人)
生活保護受給者15,000円(個人)

特養の場合、多くの入居者は低〜中所得層のため、月額15,000〜44,400円の上限に該当するケースが多いでしょう。

制度3:社会福祉法人等利用者負担軽減制度

社会福祉法人が運営する特養で、低所得の方を対象に自己負担額を25%(老齢福祉年金受給者等は50%)軽減する制度です。

対象条件(すべてを満たす方):

  • 市民税非課税世帯
  • 年間収入が単身で150万円以下
  • 預貯金が単身で350万円以下
  • 日常生活に供する資産以外に活用できる資産がない
  • 負担能力のある親族等に扶養されていない

この制度は対象となる施設(軽減事業に参加している社会福祉法人)が限られます。入居を希望する施設が対象かどうか、市区町村に確認しましょう。

特養の入居条件と申込みの流れ

費用を理解したうえで、入居の条件と手続きを確認しておきましょう。

入居条件

条件内容
要介護度原則 要介護3以上
年齢65歳以上(40〜64歳は特定疾病の場合)
特例入所要介護1・2でも「やむを得ない事情」があれば可

特例入所が認められる「やむを得ない事情」としては、以下のようなケースが挙げられます。

  • 認知症が進行し、在宅での生活が著しく困難
  • 虐待が疑われ、心身の安全確保が必要
  • 単身世帯で常時見守りが必要だが、地域での介護サービスでは対応困難

申込みから入居までの流れ

  1. 施設を選ぶ: 地域の特養をリストアップ。複数施設への同時申込みが可能
  2. 申込書を提出: 各施設の窓口または市区町村経由で入所申込書を提出
  3. 入所判定委員会で検討: 施設内の委員会が緊急度・介護度・在宅介護の困難度を総合判定
  4. 入所の打診・面談: 順番が回ったら施設から連絡。本人の状態確認のため面談を実施
  5. 契約・入居: 重要事項説明を受け、契約書を締結して入居

待機期間を短くする5つのポイント

特養は需要に対して供給が限られており、特に都市部では長い待機が発生しがちです。少しでも早く入居するために意識したいポイントをまとめます。

1. 複数施設に同時申込みする

1施設だけに申し込んで待つのではなく、通える範囲の複数施設に申込みましょう。施設ごとに待機者数が異なるため、選択肢を広げることで入居の機会が増えます。

2. 申込書の「特記事項」を具体的に書く

入所判定では介護の緊急度が重視されます。在宅介護の限界を具体的に記載しましょう。

  • 介護者の健康状態(腰痛で介護が困難、など)
  • 夜間の介護負担(徘徊・頻回なトイレ介助)
  • 独居で見守りが不足している状況
  • 認知症の進行による事故リスク

3. 新設施設の情報をチェックする

新しく開設された特養は、待機者がまだ少ないため比較的入りやすい傾向があります。自治体の広報やケアマネジャーからの情報に注意を払いましょう。

4. 多床室も選択肢に入れる

ユニット型個室のみを希望すると、対象施設が限られて待機期間が長くなりがちです。費用面でもメリットがある多床室を選択肢に含めると、早期入居の可能性が広がります。

5. 郊外・近隣市区町村の施設も検討する

都市部の施設は競争が激しいため、少し郊外に目を向けると待機期間が短い施設が見つかることがあります。面会のしやすさとのバランスを考えつつ検討しましょう。

要介護認定の申請方法で解説している通り、特養の入居には要介護3以上の認定が前提です。まだ認定を受けていない方は、まず申請から始めましょう。

特養と他の施設の費用を比較

特養以外の施設と費用面でどれだけ差があるか、一覧で比較してみましょう。

施設の種類入居一時金月額費用の目安特養との差額(月額)
特別養護老人ホーム(特養)なし8〜15万円
介護付き有料老人ホーム0〜数千万円15〜35万円+7〜20万円
住宅型有料老人ホーム0〜数百万円12〜30万円+4〜15万円
サービス付き高齢者向け住宅敷金のみ10〜25万円+2〜10万円
グループホーム0〜数十万円12〜20万円+4〜5万円
介護老人保健施設(老健)なし10〜17万円+2〜2万円

特養の費用の安さは明確ですが、入居条件が厳しく待機もあるというデメリットがあります。「すぐに入居したい」「要介護2以下」という場合は、他の施設も並行して検討することが現実的です。

老人ホームの種類と選び方では各施設の特徴を詳しく比較していますので、併せてご覧ください。

入居後にかかる費用と注意点

月額費用以外にも、入居後に発生する可能性がある費用を把握しておきましょう。

医療費

特養では日常的な健康管理は施設の医師・看護師が対応しますが、以下は別途費用がかかります。

  • 外部の病院への通院・入院費用
  • 歯科治療費
  • 薬代(処方薬は医療保険の対象)
  • 入院時の差額ベッド代

その他の費用

  • 衣類・下着: 汚れや劣化で買い替えが必要
  • 嗜好品: お菓子・飲み物など
  • 外出・外食: 外出レクリエーション時の実費
  • 預り金(身元保証関連): 身元保証人を立てる場合の費用

なお、特養では原則としておむつ代は施設負担です(介護報酬に含まれる)。有料老人ホームでは自己負担のことが多いため、この点でも特養は費用面で有利と言えます。

そなえで施設費用の備えを共有する

特養の入居を将来的に考えている場合、「いくらまでなら支払えるか」「どんな施設を希望するか」を家族間で共有しておくことが重要です。

「そなえ」では、介護施設に関する希望や費用に関する情報をデジタルで記録し、信頼できる家族と共有しておくことができます。

  • 年金額や活用できる資産の目安を記録
  • 施設に対する希望(個室か相部屋か、立地の条件など)を登録
  • 負担軽減制度の申請に必要な情報の整理
  • 日時指定のビデオメッセージで、介護に関する想いを家族に伝える

突然入居が必要になったときに慌てないためにも、元気なうちから「費用のこと」「施設の希望」を言葉にしておきましょう。

まとめ

特別養護老人ホームは、入居一時金が不要で月額費用も安い公的施設です。しかし費用の内訳や軽減制度を知らないと、想定外の負担に戸惑うこともあります。

  • 月額費用の目安: 多床室で約8〜10万円、ユニット型個室で約13〜15万円
  • 負担軽減制度の活用: 負担限度額認定を受ければ、月額4〜6万円程度まで下がるケースもある
  • 入居条件: 原則 要介護3以上。特例入所もあるが限定的
  • 待機対策: 複数施設への同時申込み・新設施設チェック・郊外の施設も検討

費用面では最も負担が少ない選択肢ですが、すぐに入れるとは限りません。将来的に特養を視野に入れている方は、今のうちから費用のシミュレーションと負担軽減制度の確認を進めておくことをおすすめします。

特別養護老人ホームの費用|月額の内訳・負担軽減制度・入居条件を徹底解説