終活コラム

介護が必要になる前の準備|知っておくべきことと備え方

介護の備えを始めたい方へ。介護保険の基本、在宅・施設の選択肢、費用の目安、家族で話し合うべきことを解説します。

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「介護はまだ先の話」——そう思っている方は多いのではないでしょうか。しかし、介護は突然始まるケースがほとんどです。

転倒による骨折、脳卒中、認知症の進行など、きっかけは予測できません。準備がないまま介護が始まると、家族は情報収集から手続き、費用の工面まで一度に対応を迫られます。

この記事では、介護が必要になる前に知っておきたいこと、今からできる備えを具体的に解説します。

家族で介護について話し合う様子

介護はある日突然始まる

介護が始まるきっかけ

介護が必要になる原因として多いのは、以下のようなケースです。

  • 脳血管疾患(脳卒中など):ある日突然、体が動かなくなる
  • 骨折・転倒:高齢者の転倒は寝たきりにつながりやすい
  • 認知症の進行:物忘れから始まり、徐々に日常生活に支障が出る
  • 心疾患や呼吸器疾患の悪化

厚生労働省の調査によると、要介護認定を受けている方の約7割が75歳以上と言われています。しかし、50代・60代で介護が必要になるケースも珍しくありません。

準備がないと家族はどうなるか

介護の準備がない状態で突然介護が始まると、家族には大きな負担がかかります。

  • どこに相談すればいいかわからない
  • 介護保険の申請方法を一から調べる必要がある
  • 施設の空き状況や費用の相場がわからない
  • 仕事との両立に悩む(介護離職のリスク)
  • 家族間で負担の偏りが生じ、関係が悪化する

事前に基本的な知識を持っておくだけで、いざという時の対応が大きく変わります。

まず知っておきたい介護保険の基本

介護保険の仕組み

介護保険は、40歳以上の方が加入する公的保険制度です。65歳以上(第1号被保険者)になると、要介護認定を受けることで介護サービスを原則1〜3割の自己負担で利用できます。

介護保険は終活の始め方ガイドでも触れている「知っておくべき制度」の一つです。制度を知らないまま全額自費で介護を受けてしまうケースもあるため、基本的な仕組みは早めに把握しておきましょう。

要介護認定の流れ

介護サービスを利用するには、まず要介護認定を受ける必要があります。

  1. 市区町村の窓口に申請する(本人または家族)
  2. 認定調査員が自宅を訪問し、心身の状態を調査
  3. 主治医の意見書が作成される
  4. 審査・判定を経て、介護度が決定(申請から約30日)
  5. 結果に基づいてケアプランを作成し、サービス開始

介護度別の支給限度額の目安

介護度状態の目安月額支給限度額(目安)
要支援1日常生活はほぼ自立約5万円
要支援2一部に支援が必要約10万円
要介護1部分的に介助が必要約17万円
要介護2軽度の介護が必要約20万円
要介護3中程度の介護が必要約27万円
要介護4重度の介護が必要約31万円
要介護5最重度の介護が必要約36万円

※自己負担は原則1割(所得に応じて2〜3割)です。限度額を超えた分は全額自己負担となります。

在宅介護と施設介護の違い

介護が必要になった場合、大きく分けて「在宅介護」と「施設介護」の2つの選択肢があります。

在宅介護の特徴

在宅介護は、自宅で介護サービスを利用しながら生活を続ける方法です。

  • 住み慣れた環境で過ごせる
  • 訪問介護やデイサービスを組み合わせられる
  • 家族の負担は大きくなりやすい
  • 介護度が高くなると対応が難しい場合がある

施設介護の種類

介護施設にはさまざまな種類があり、入居条件や費用が異なります。

  • 特別養護老人ホーム(特養):要介護3以上が対象。費用が比較的安いが待機者が多い
  • 介護老人保健施設(老健):リハビリ目的の一時的な入所施設
  • 有料老人ホーム:介護付き・住宅型など種類が豊富。費用は月15〜30万円程度が目安
  • グループホーム:認知症の方が少人数で共同生活する施設
  • サービス付き高齢者向け住宅(サ高住):比較的自立度の高い方向け

在宅と施設の比較

項目在宅介護施設介護
費用月5〜15万円程度月10〜30万円程度
生活環境住み慣れた自宅施設での共同生活
家族の負担大きい(特に夜間)専門スタッフが対応
医療対応訪問看護で対応施設により常駐
柔軟性サービスを組み合わせ可能施設のルールに従う

どちらが良いかは、本人の状態や家族の状況によって異なります。大切なのは、選択肢があることを事前に知っておくことです。

介護サービスについて相談する家族

介護に備えて今やっておくべき4つのこと

1. 親や家族と介護について話し合う

介護の方針は、本人の意思が最も大切です。元気なうちに「どこで介護を受けたいか」「施設に入ることへの考え」を話し合っておきましょう。

話し合いのきっかけとしては、家族に伝えておくべきことを参考にしたり、エンディングノートの書き方を一緒に読みながら進めるのがおすすめです。

2. 介護費用の備えを確認する

介護には長期的な費用がかかります。生命保険文化センターの調査では、介護にかかる費用は平均で月8万円程度、介護期間の平均は約5年と言われています。

  • 公的介護保険でカバーされる範囲を理解する
  • 民間の介護保険への加入を検討する
  • 預貯金や年金収入でどの程度賄えるか試算する

3. かかりつけ医・医療情報を整理する

介護が必要になったとき、主治医の意見書は要介護認定に欠かせません。

  • かかりつけ医の名前・連絡先を控えておく
  • 持病、服用している薬、アレルギーの情報を一覧にする
  • お薬手帳を最新の状態に保つ

4. 地域包括支援センターを知っておく

地域包括支援センターは、介護・医療・福祉の総合相談窓口です。各市区町村に設置されており、無料で相談できます。

  • 介護に関する相談全般
  • 要介護認定の申請サポート
  • 介護予防プランの作成
  • 権利擁護に関する相談

いざという時に「どこに相談すればいいか」を知っているだけで、初動の対応が格段にスムーズになります。

認知症に備える準備

認知症になると何が変わるのか

認知症が進行すると、日常生活だけでなく法律行為にも影響が出ます。

  • 銀行口座の管理ができなくなる
  • 不動産の売却や契約行為ができなくなる
  • 詐欺や消費者被害に遭いやすくなる
  • 介護の方針を本人が判断できなくなる

認知症になってからでは、本人の意思に基づく手続きが難しくなります。だからこそ、判断力があるうちに備えておくことが大切です。

任意後見制度という選択肢

任意後見制度は、将来の判断能力の低下に備えて、信頼できる人に代理権を事前に委任する制度です。公正証書で契約を結ぶことで、認知症になった後も本人の意思を反映した財産管理が可能になります。

任意後見制度は相続の準備とも密接に関わっています。詳しくは相続の準備チェックリストもあわせてご確認ください。

日常的にできる備え

認知症のリスクを減らすためにできることもあります。

  • 適度な運動(ウォーキングなど)
  • バランスの良い食事
  • 社会的なつながりを保つ
  • 趣味や知的活動を続ける
  • 持病(高血圧・糖尿病など)の管理

そなえで介護の備えをもっと手軽に

介護に関する情報は、頭の中にあるだけでは家族に伝わりません。「そなえ」では、介護の希望や医療情報をデジタルで整理・共有できます。

  • 介護の方針(在宅・施設)や希望をエンディングノートに記録
  • かかりつけ医や服薬情報を整理して家族と共有
  • もしもの時に必要な情報が家族に届く仕組み

元気なうちに「自分はこうしてほしい」を伝えておくことが、家族のいちばんの安心につながります。

まとめ

介護はいつ始まるか予測できません。だからこそ、元気なうちに介護保険の仕組みを理解し、費用の備えや家族との話し合いを進めておくことが大切です。

まずは地域包括支援センターの場所を調べること、そして家族と介護について一度話してみること。小さな一歩が、いざという時の大きな支えになります。